犬 全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、犬の自己免疫疾患の一つで、免疫系が自身の組織や細胞を攻撃することで、全身に多彩な症状を引き起こす疾患です。
症状は個々の犬で大きく異なり、複数の臓器や組織が同時に影響を受けることがあります。
全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)の症状
SLEは、多臓器に影響を及ぼすことが特徴で、症状が広範囲にわたります。症状は慢性的または急性の形で現れることがあります。
@ 一般的な症状
- 発熱:特に原因が特定できない周期性発熱。
- 元気消失や食欲不振。
- 体重減少。
A 臓器別の症状
関節症状
- 関節炎(多発性関節炎):関節の痛み、腫れ、跛行。
- 痛みが移動性で、関節液に炎症性の変化が見られる。
皮膚症状
- 紅斑(皮膚の赤み)。
- 色素脱失、潰瘍。
- 鼻や耳、顔面に特に多い。
腎臓
- ループス腎炎:タンパク尿、腎不全の進行。
血液系
- 免疫介在性溶血性貧血(IMHA)。
- 免疫介在性血小板減少症(ITP)。
筋肉・神経系
- 筋肉の痛みや萎縮。
- 神経症状(発作や行動の変化)。
心血管系
- 心膜炎や心筋炎。
犬の全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)の原因
SLEの正確な原因は解明されていませんが、以下の要因が関与すると考えられています。
遺伝的素因:一部の犬種で発生率が高い。
- ジャーマン・シェパード、シェルティ、ビーグル、アフガン・ハウンドなどがリスクが高いとされています。
環境要因:
- 紫外線の曝露。
- 感染症(バクテリアやウイルス感染がトリガーになる場合がある)。
薬剤反応:特定の薬剤が免疫反応を誘発する可能性。
免疫異常:自己抗体の生成や免疫系の調節異常。
犬の全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)の診断
SLEは、多彩な症状と臨床検査結果を基に診断します。
@ 病歴と身体検査
- 複数の臓器が関与する症状があるか確認。
A 血液検査
- 自己抗体(抗核抗体:ANA)の陽性:SLEを示唆。
- 貧血、血小板減少、白血球減少。
B 尿検査
- タンパク尿(腎障害を反映)。
- 血尿や細胞円柱。
C 皮膚生検や関節液検査
- 炎症や免疫複合体の沈着を確認。
D 除外診断
- 感染症、腫瘍、他の自己免疫疾患を除外。
全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)の治療
SLEは根治が難しい疾患ですが、適切な治療で症状の管理が可能です。
@ 免疫抑制療法
ステロイド(プレドニゾロン):
- 初期治療として使用。
- 高用量から開始し、症状改善後に徐々に減量。
補助的免疫抑制剤:
- アザチオプリン、シクロスポリン、マイコフェノール酸モフェチル。
A 支持療法
関節炎:
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)。
腎炎:
- ACE阻害薬(エナラプリルなど)。
- 腎保護のための低タンパク食。
輸血:
- 重度の貧血や血小板減少症がある場合。
B 環境管理
- 紫外線回避:日差しが強い時間を避ける。
- ストレスの軽減。
Q&Aから学ぶ
全身性エリテマトーデス(SLE)は、多臓器において自己免疫介在性に炎症が生じる疾患である。
症例においては、多発性関節炎、発熱、腎疾患、皮膚症状、リンパ節腫大、脾腫、白血球減少症、溶血性貧血、血小板減少症および中枢神経疾患など、複数の臨床症状が認められる。
全身性エリテマトーデス:元気消失、食欲不振、発熱、多発性関節炎による四肢の跛行、腎障害(たんぱく尿)、皮膚症状(脱毛、紅斑、水疱、潰瘍など)、筋の萎縮、浮腫や腹水など様々な症状が認められます。
痒みの有無は症例によって異なります。
全身性エリテマトーデスとは、免疫に異常が起き、皮膚や内臓など、あらゆる場所で免疫の異常による炎症が起こります。
犬により、障害が現れる部位が異なるため、多様な症状を示し、他の病気と区別がつきにくい病気といわれています。
犬の全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)の予後
- SLEの予後は症状の重症度や臓器の関与範囲に依存します。
- 軽症例では治療により長期間の安定が可能。
- 重症例や腎不全を伴う場合、予後は慎重に見る必要があります。
犬の全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)の予防方法
- SLEの明確な予防法はありません。
- 遺伝的素因を持つ犬種では、適切な環境管理(紫外線回避、感染症予防)が重要。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、多臓器にわたる多様な症状を引き起こす複雑な自己免疫疾患です。
早期の診断と適切な治療により、症状をコントロールし、犬の生活の質を向上させることが可能です。
もしSLEが疑われる症状が見られる場合は、速やかに動物病院を受診し、適切な検査と治療を受けることが重要です。
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