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犬 炎症性腸疾患(IBD)

炎症性腸疾患(IBD)**は、犬の胃腸管に慢性的な炎症が生じる疾患で、消化器系の不調を引き起こします。
この疾患は、免疫系の異常な反応が主な原因とされ、特定の犬種に好発する傾向があります。
長期間治療が必要な場合が多いですが、適切な管理により症状をコントロールすることが可能です。

 

 

犬の炎症性腸疾患(IBD)の症状

IBDの主な症状は以下の通りです。これらは症状の重さや炎症がどの部位に起きているかによって異なります。

  • 嘔吐:胃が影響を受けている場合。
  • 下痢:腸の炎症が主である場合(特に粘液や血液を伴うことがある)。
  • 体重減少:慢性的な消化吸収不良による。
  • 食欲不振または異常な食欲:炎症や痛みによるもの。
  • 腹痛:触ると痛がる、または丸まる姿勢をとる。
  • 元気消失:全身の倦怠感。
  • ガスや腹鳴:腸内にガスがたまることによる。

 

 

犬の炎症性腸疾患(IBD)の原因

正確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与すると考えられています:

 

1. 免疫系の異常
  • 腸内の免疫系が正常な腸内細菌や食物を「異物」として攻撃することによる慢性炎症。
2. 遺伝的要因
  • 一部の犬種で発症率が高いことから、遺伝的素因が示唆されています。
  • 好発犬種:ジャーマン・シェパード、ボクサー、ヨークシャー・テリアなど。
3. 環境要因
  • 食物アレルギー、不耐性(特定のタンパク質やグルテンなど)。
  • ストレスや生活環境の変化。
4. 腸内細菌叢の異常
  • 腸内細菌バランスが崩れることがトリガーとなる。
5. 他の疾患の影響
  • 寄生虫感染、細菌感染、薬剤(抗生物質など)による腸のダメージ。

 

 

炎症性腸疾患(IBD)の診断

IBDの診断は困難な場合が多く、他の疾患を除外することが重要です。

 

1. 問診

症状の持続期間、食事内容、排便パターン、薬の使用歴を確認。

2. 身体検査

触診により腹部の痛みや腫れを確認。

3. 糞便検査

寄生虫や感染症の有無を調べる。

4. 血液検査

貧血、低アルブミン血症(タンパク漏出性腸症を示唆)や炎症マーカーの上昇を確認。

5. 画像検査

超音波検査:腸壁の肥厚やリンパ節の腫れを評価。

6. 内視鏡検査と生検

腸内視鏡を用いて炎症の程度を観察し、組織を採取して病理検査を行う。
組織学的診断がIBDの確定診断に重要。

 

 

炎症性腸疾患(IBD)の治療

IBDの治療は、炎症を抑え症状をコントロールすることを目的とし、以下の方法が用いられます。

1. 食事療法
  • 低アレルギー性食事:特定のタンパク源を制限する。
  • 消化しやすい食事:腸への負担を軽減。
  • 加水分解タンパク食:アレルギー反応を避ける。
  • 高繊維食:腸内環境を整える。
2. 薬物療法
  • 抗炎症薬:プレドニゾロンなどのコルチコステロイドを使用。
  • 免疫抑制薬:アザチオプリンやシクロスポリンなど、重症例に用いられる。
  • 抗生物質:メトロニダゾールやチロシンが腸内細菌叢を整える目的で使用されることがある。
  • 整腸剤・プロバイオティクス:腸内環境の改善。
  • 制吐剤や下痢止め:症状緩和を目的とする。
3. 補助療法
  • ビタミンB12補充:吸収不良による欠乏を補う。
  • 輸液療法:脱水や電解質異常を補正。

 

 

Q&Aから学ぶ

犬の炎症性腸疾患の症状は?

消化管が炎症を起こすことで、食欲低下、嘔吐、下痢、などの症状が見られます。 人の炎症性腸疾患としては、クローン病と潰瘍性大腸炎が存在します。

犬の大腸に炎症がおこる原因は何ですか?

定義上の大腸炎とは、腸管内膜の急性または慢性炎症です。
多くの場合、ベンチュウ(寄生虫)、腫瘍またはポリープ、食べ物の変化、アレルギー(食物アレルギーを含む)、異物の飲み込み、その他特定の疾患によって生じます。
大腸炎は、5歳未満の犬にはよくみられ、大腸の炎症を引き起こした結果、痛みのある便通が頻繁に起きます。

IBDは犬でも完治しますか?

残念ながらIBDを完治させることはできません。 しかし、内視鏡を行って早期に確定診断をつけることで重症化を抑えられる可能性があります。
食事療法を中心として薬を組み合わせることで症状を抑えて快適に過ごしてもらう事は十分可能です。

腸の炎症はどれくらいで治りますか?

腸の炎症が治まるまで、ウイルス性の場合は数日、細菌性の場合は1ー2週間程度かかる場合もあります。
前述のようにほとんどは未治療で治ることも多いですが、点滴による補液を行うことで症状が楽になることもあります。
また血便を伴う場合は重症化することも多いので必ず医療機関へ相談して下さい。

大腸の炎症を放置するとどうなる?

血便や腹痛、下痢などの症状が続くうちに、貧血を起こし、出血の程度によってはショックを起こすおそれがあります。
また、炎症が進むと腸に穴が空いてしまうこともあります。
腸に穴が空いた場合、腹膜炎をきたして命にかかわる危険な事態になるおそれがあるため、緊急手術が必要になることがあります。

 

 

犬の炎症性腸疾患(IBD)の予後

  • IBDは完治が難しく、慢性的な管理が必要です。
  • 軽度のケースでは食事療法だけで症状が改善することもありますが、重症例では薬物療法が継続的に必要になることがあります。
  • 適切な管理が行われない場合、栄養不良や腸の機能低下が進行し、命に関わることもあります。

 

 

犬の炎症性腸疾患(IBD)の予防方法

  • バランスの取れた食事:消化に優れたフードを与える。
  • 腸内細菌バランスの維持:プロバイオティクスの活用。
  • ストレス管理:犬の生活環境を整え、ストレスを最小限に抑える。
  • 定期的な健康チェック:早期に症状を発見する。

 

 

 炎症性腸疾患(IBD)は、犬の消化器系に慢性炎症を引き起こす疾患で、管理が難しい場合もあります。
しかし、適切な診断と治療を受けることで、症状をコントロールし、犬の生活の質を維持することが可能です。
長期的な管理が必要なため、飼い主と獣医師の協力が不可欠です。

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