犬 慢性膵炎
慢性膵炎(Chronic Pancreatitis)**は、膵臓の長期間にわたる炎症状態を指し、膵臓の組織が徐々に損傷し、機能が低下する病気です。
急性膵炎が繰り返し発症することによって慢性膵炎に移行することもあり、膵臓が完全に機能しなくなる場合があります。
この状態は犬にとって深刻で、適切な治療が行われない場合、膵臓不全に繋がることもあります。
犬の慢性膵炎の症状
慢性膵炎の症状は、急性膵炎の症状と似ていますが、長期間にわたって続くため、進行とともに症状が変化します。
以下のような兆候が見られることがあります:
- 持続的な食欲不振:長期的に食欲が減少します。
- 嘔吐:繰り返し嘔吐が見られることがあります。
- 体重減少:食事量が減少するため、体重が減ることがあります。
- 下痢:膵臓の機能低下により、消化不良が続き、下痢が見られることがあります。
- 虚脱(だるさ):元気がなくなることが多く、犬が活動的でなくなります。
- 腹部膨満:膵臓の炎症が進行すると、腹部が膨れることがあります。
- 糖尿病の発症:膵臓のインスリン分泌機能が低下すると、糖尿病が発症することがあります。
- 慢性膵炎は症状が軽度な場合もあり、初期段階では発見が難しいことがあります。しかし、時間が経過すると症状が進行していきます。
犬の慢性膵炎の原因
慢性膵炎は急性膵炎が繰り返し発症することや、他の原因によって進行することがあります。主な原因として以下が挙げられます:
1. 急性膵炎の再発
- 急性膵炎が何度も繰り返されることによって、膵臓の組織が徐々に破壊され、慢性膵炎に移行することがあります。
2. 高脂肪食
- 脂肪分の多い食事は膵臓に負担をかけ、慢性膵炎の原因となることがあります。
3. 肥満
- 肥満の犬は膵臓に負担がかかり、慢性膵炎を引き起こすリスクが高くなります。
4. 薬剤
- 特定の薬剤が膵臓に影響を与え、慢性的な炎症を引き起こすことがあります。
5. 胆嚢疾患
- 胆嚢の異常(例えば胆石や胆嚢炎)が膵臓に影響を与え、膵臓の炎症が慢性化することがあります。
6. 糖尿病
- 糖尿病の犬では膵臓に負担がかかり、慢性膵炎を引き起こすことがあります。
7. 免疫系の異常
- 自己免疫疾患などにより、膵臓が慢性的に攻撃されることがあります。
慢性膵炎の診断
慢性膵炎の診断は急性膵炎と同様に迅速に行うことが重要ですが、症状が軽度であるため、発見が遅れることがあります。診断方法は次のようなものがあります:
血液検査
- アミラーゼやリパーゼの測定:膵臓の炎症が進行していれば、これらの酵素の値が上昇することがあります。
- 糖尿病の検査:慢性膵炎が進行すると、膵臓のインスリン分泌が低下することがあり、糖尿病を併発することがあります。
- 肝機能検査:膵炎が肝臓に影響を与えることがあるため、肝機能もチェックします。
超音波検査
- 腹部超音波で膵臓の腫れや異常を確認します。また、膵臓に石や膿が溜まっていないかも確認できます。
X線検査
- X線で腹部の異常を確認し、膵臓の影響や他の消化器系の問題を特定します。
CTスキャン
- 詳細な画像診断としてCTスキャンを使用することがあります。
慢性膵炎の治療
慢性膵炎は完治が難しい場合が多いため、症状の管理と膵臓の負担を軽減することが治療の中心となります。治療方法には以下のようなものがあります:
1. 食事管理
- 低脂肪の療法食:膵臓への負担を減らすために、消化しやすい低脂肪の食事が与えられます。食事の量も適切に管理し、過食を避けます。
- 頻回に少量の食事:膵臓にかかる負担を軽減するために、一度に与える食事量を減らし、頻繁に少量ずつ与えることが推奨されます。
2. 薬物療法
- 消化酵素補充薬:膵臓の消化機能が低下した場合、消化酵素を補充する薬が使われることがあります。
- 鎮痛薬:膵臓の炎症による痛みを管理するため、鎮痛薬が使用されることがあります。
- 抗炎症薬:膵臓の炎症を抑えるために抗炎症薬が投与されることがあります。
3. インスリン治療
- 糖尿病を併発した場合、インスリン治療が必要となることがあります。
4. 絶食と静脈内輸液
- 急性の膵炎の再発を防ぐために、絶食と静脈内輸液が行われることがあります。
Q&Aから学ぶ
膵臓は、たんぱく質や脂肪などを分解する消化酵素を分泌する器官です。 膵炎は急性と慢性とに分かれます。
犬の慢性膵炎は膵臓に炎症が持続して、次第に膵実質の進行性の細胞傷害・破壊と線維化により、膵臓が固くなり、膵機能障害を伴った病態を示します。
慢性膵炎の特徴は急性膵炎のような強烈な症状を認めることは少なく、どちらかというと軽度?中程度の症状が長期間もしくは生涯続く傾向があります。
主な症状は食欲不振・元気消失・体重減少・腹部痛・不定期な嘔吐・下痢・黄疸・発熱・低体温などですが、無意症状のこともあり診断が非常に難しい病気の一つです。
食欲不振、悪心・嘔吐、腹部膨満感など、いわゆる「お腹(胃)の不調」のような症状が一般的です。
膵臓が硬くなった結果、胆汁の通り道である胆管が狭くなり、黄疸になってしまうこともあります。
他には、消化・吸収が悪くなるために下痢(脂肪便)を起こしたり、糖尿病を合併することもあります。
慢性膵炎の診断のためには、血液検査やエコー検査、生検などが行われます。
- 血液検査血液検査ではリパーゼの上昇が確認されます。
- エコー検査エコー検査では膵臓の腫れや膵臓の形態の異常を検出します。
健康な犬のエコーでは膵臓ははっきりとは描出されませんが、炎症があるとはっきり描出されるようになります。
適切に治療すれば完治する場合が多いです。
治療が遅れたり、他の病気を併発していたりすると亡くなる可能性もあります。
慢性膵炎の犬については、鎮痛剤などの投薬治療もありますが、やはり食事管理を行うことが一番です。
急性膵炎の予後管理と同じく、低脂肪・高消化性のドッグフード・食事を与えるようにしましょう。
また、食事と併せて消化の助けとなる「酵素剤・酵素サプリメント」を活用することも一つでしょう。
また犬の急性膵炎 の死亡率は 27-58 % であると報告されており臨床的に重要な疾患であると位置づけられている。
ほとんどが原因不明ですが、高脂肪食を食べていたり、内分泌疾患を患っていたり、肥満であったりすることがリスクとなります。
慢性膵炎は一旦発症してしまうと基本的に治ることはありません。
ただし、痛みが出始めた初期に食事や生活を見直し、適切な治療を行うことができれば、進行を抑え、膵臓の機能を保つことは可能です。
慢性膵炎に合併することが多い膵がんの発症リスクも下がるため、病気が見つかった時には早期に受診し、根気強く治療を続けましょう。
犬は急に症状が出始める急性膵炎が多いですが、猫の場合は週に1回程度の嘔吐が継続的に発生する慢性膵炎も報告されています。
2?3日で改善する軽症例は少なく、1週間?10日前後の治療期間が必要な中等症が多い印象です。
犬の慢性膵炎の予後
慢性膵炎の予後は犬の状態や治療の進行具合に依存します。
膵臓の機能が失われると、治療が難しくなり、合併症(糖尿病、消化不良、体重減少)などを引き起こす可能性があります。
早期に発見し、治療を開始することで、予後を改善できることがありますが、治療には時間と労力がかかるため、継続的な管理が必要です。
犬の慢性膵炎の予防方法
慢性膵炎を予防するためには、急性膵炎の発症を避けることが最も重要です。予防方法には以下のものがあります:
- 低脂肪の食事を与える:高脂肪食を避け、適切なバランスの食事を与えることが大切です。
- 適切な体重管理:肥満は膵臓に負担をかけるため、体重を管理することが予防につながります。
- 定期的な獣医師の検診:定期的に健康チェックを受け、膵臓の異常が早期に発見されるようにします。
慢性膵炎は膵臓の長期的な炎症によって引き起こされ、急性膵炎の再発や他の要因により進行します。
症状は食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少などで、早期の発見と管理が重要です。
治療は膵臓の負担を軽減することを中心に行い、食事管理や薬物療法が使用されます。
予後は早期の治療に依存しますが、慢性化した場合は継続的な管理が必要です。
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