犬 GIST(消化管間質腫瘍)
消化管間質腫瘍(GIST)は、消化管(特に胃や腸)に発生する腫瘍で、腸の筋肉や結合組織(間質)から発生します。
GISTは、犬においては比較的まれな腫瘍ですが、消化管に発生する腫瘍の中では重要な疾患とされています。
腫瘍の性質や転移の可能性により、早期発見と治療が重要です。
犬のGIST(消化管間質腫瘍)の概要
消化管間質腫瘍(GIST)は、消化管の間葉系組織(筋肉や結合組織など)から発生する腫瘍です。
発生部位としては主に胃や小腸、大腸などが関与し、良性から悪性まで幅広い性質があります。
GISTは、腫瘍細胞の中に特定の遺伝子異常が関連しているため、診断と治療には遺伝子検査が重要となることがあります。
犬のGIST(消化管間質腫瘍)の症状
GISTの症状は、腫瘍の大きさや発生場所、転移の有無に応じて異なります。典型的な症状には次のようなものがあります:
@ 腹部症状
- 嘔吐:腫瘍が胃や腸に生じた場合、消化不良や腸閉塞を引き起こし、嘔吐を招くことがあります。
- 食欲不振:腫瘍の影響で消化がうまく行われず、食欲が減退することがあります。
- 腹部膨満:腫瘍が大きくなることで、腹部に膨満感が現れることがあります。
- 体重減少:消化機能の低下や腫瘍のエネルギー消費により、体重が減少することがあります。
A 消化管の閉塞や出血
- 腸閉塞:腫瘍が腸を塞いでしまうと、便秘や腹痛、膨満感、激しい嘔吐などが見られることがあります。
- 消化管出血:腫瘍が出血することにより、黒い便(タール便)や血便が見られることがあります。
B 転移がある場合
- 転移がある場合は、特に肝臓や腹膜に転移することがあり、それに伴う症状(肝障害や腹水)などが現れることがあります。
犬のGIST(消化管間質腫瘍)の原因
GISTの正確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因がリスクとして考えられています:
- 遺伝的要因:GISTは、腫瘍細胞内での特定の遺伝子異常(特にKIT遺伝子変異やPDGFRA遺伝子変異)が関連しているとされています。これらの遺伝子異常により腫瘍が発生することがあります。
- 犬種の傾向:特に大型犬種(ゴールデン・レトリーバー、ドーベルマンなど)で見られることが多いという傾向がありますが、どの犬種でも発生する可能性があります。
- 加齢:GISTは高齢犬に多く見られる傾向があります。
GIST(消化管間質腫瘍)の診断
@ 身体検査
- 腹部に腫瘍がある場合、触診で腫れやしこりを確認できることがあります。
A 画像診断
- 超音波検査:腫瘍の大きさや場所、周囲の組織への浸潤や転移を評価するために使用されます。
- X線検査:特に消化管の腸閉塞の兆候を確認するために用いられます。
- CT/MRI:腫瘍の正確な位置や転移の有無、周囲組織への浸潤を評価するために使用されることがあります。
B 内視鏡検査
- 胃や腸内の腫瘍を視覚的に確認でき、場合によっては組織を採取することができます。これにより、腫瘍の性質を確認するために細胞診や生検を行います。
C 血液検査
- 基本的な健康状態を評価し、貧血や炎症の兆候を確認します。
- 腫瘍による消化管出血や消化不良が疑われる場合、血液検査で異常が見つかることもあります。
D 組織学的検査(生検)
- 内視鏡的に組織を採取し、腫瘍の性質(良性か悪性か、転移性の有無など)を調べるために行います。
GIST(消化管間質腫瘍)の治療
治療法は腫瘍の種類や進行状況に応じて選択されます。
@ 外科手術
腫瘍摘出術:腫瘍が限局している場合、外科的に腫瘍を摘出することが最も効果的です。腫瘍が消化管を完全に閉塞している場合、腸切除術や消化管再建手術が行われることもあります。
A 化学療法
手術後に転移のリスクがある場合や、腫瘍が悪性である場合には、化学療法が選択されることがあります。GISTに効果がある薬剤(イマチニブなど)が使用されることがあります。
B 放射線治療
手術が難しい場合や腫瘍の局所制御が必要な場合、放射線治療を使用することがありますが、これが適応されるのは限られたケースです。
C 対症療法
腸閉塞や出血などの症状に対して、支持療法(輸液や鎮痛、抗生物質など)が行われることがあります。
Q&Aから学ぶ
GISTは、Gastrointestinal Stromal Tumorの略称で、日本語では消化管間質腫瘍と呼ばれ、胃や腸などの消化管にできる悪性腫瘍の一種です。
消化管の内側の壁は粘膜におおわれており、その下に筋肉層があります。 GISTは筋肉層から発生し、粘膜を下から押し上げるように 腫瘤 しゅりゅう ができます。
診断が難しい消化管間質腫瘍(GIST)をお届けします。 完全切除後の5年無再発生存率は70%ですが、切除不能だと無治療で1.5年と予後不良です。
GISTは、肝臓や脾臓、周りの組織(腸間膜など)への転移が報告されていますが、転移がなく手術で腫瘍を完全に切除できると、その後の経過は良好といわれています。
ただ、再発や転移の可能性はゼロではないので、その後も経過に注意する必要があります。
犬の腸の腫瘍(腸管腫瘍)の症状は、腫瘍の種類、腫瘍ができた場所、悪性腫瘍だった際のステージ(転移の有無など)などにより異なります。
一般的には、食欲不振、便秘、軟便、血便、嘔吐、腸の通過障害(腸閉塞)、などがみられます。
GISTの好発部位は、人では胃ですが、犬では胃には少なく、その大半が小腸や大腸に発生します。
イヌGIST全体の生存期間中央値は356日で、興味深いことに、去勢・避妊済みの犬では長生きしています。
犬のGIST(消化管間質腫瘍)の予後
- 良性のGISTは、手術による摘出で完全に治癒することが多く、予後は良好です。
- 悪性のGISTは、転移を起こすことがあり、予後は不良です。しかし、早期に発見して適切な治療を行うことで、転移を防ぎ、長期的な生存が可能になる場合もあります。
犬のGIST(消化管間質腫瘍)の予防方法
GISTに対する特別な予防策は確立されていませんが、定期的な健康診断や消化器系のチェックが重要です。
特に高齢犬や腸の問題が多い犬種では、早期発見のために定期的に超音波や内視鏡検査を行うことが推奨されます。
消化管間質腫瘍(GIST)は、消化管に発生するまれな腫瘍ですが、悪性化や転移の可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。腫瘍の摘出が最も有効な治療法ですが、悪性腫瘍に対しては化学療法や放射線治療が選択されることもあります。
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