犬 多血症
多血症は、犬の血液中の赤血球数、ヘモグロビン濃度、またはヘマトクリット値が異常に増加した状態を指します。
この状態は、血液が濃くなることで循環に負担をかけ、重篤な症状や合併症を引き起こすことがあります。
犬の多血症の症状
多血症の症状は、血液粘度の増加による循環器系の負担や酸素供給の過剰に関連しています。
一般的な症状
- 赤い歯茎や舌(正常より濃い赤色)
- 粘膜の充血
- 元気消失や疲れやすさ
- 食欲不振
- 呼吸困難や頻呼吸
- 行動変化(興奮しやすい、またはぼんやりしている)
進行した場合の症状
- 失神(血液が粘性のため脳への血流が不十分になる)
- 視力障害(網膜出血や視神経への血流障害)
- 血栓形成(血液が凝固しやすくなる)
- けいれんや神経症状(脳血流の障害)
犬の多血症の原因
多血症は大きく絶対性多血症と相対性多血症に分けられます。
絶対性多血症
赤血球の産生が異常に増加することで起こります。
一次性多血症(真性多血症)
- 骨髄の異常により赤血球が過剰に産生される。
- 原因: 骨髄腫瘍(赤血球系の腫瘍性増殖)。
二次性多血症
酸素不足やホルモンの異常が原因で、赤血球産生が促進される。
原因:
- 低酸素血症(例: 心臓病、肺疾患、高地での生活)
- エリスロポエチンの過剰産生(腎腫瘍や腎疾患に関連)。
相対性多血症
- 血漿量が減少することで相対的に赤血球が増加しているように見える状態。
原因:
- 脱水症状(嘔吐、下痢、発熱などによる水分喪失)。
- 急性ストレス(ストレスホルモンの影響で一時的に赤血球数が増加)。
多血症の診断
多血症の診断は、以下の検査を通じて行います。
身体検査
- 歯茎や舌の色、脈拍、呼吸状態を評価。
- 脱水の兆候(皮膚の張り、乾燥した粘膜など)を確認。
血液検査
ヘマトクリット値
55%以上で多血症を疑う(正常値は犬種や個体によるが、概ね35〜55%)。
赤血球数とヘモグロビン濃度
- 基準値を超えていれば多血症の可能性が高い。
酸素分圧(血液ガス分析)
- 低酸素状態が原因かどうかを評価。
画像検査
胸部や腹部のX線・超音波検査
- 心疾患、肺疾患、腎腫瘍などを確認。
骨髄検査
- 一次性多血症(真性多血症)を確認するために実施することがある。
多血症の治療
多血症の治療は、原因に応じて異なります。
@ 相対性多血症
脱水症が原因の場合:
輸液療法により血漿量を増加させ、正常な赤血球濃度を回復させる。
A 絶対性多血症
一次性多血症(真性多血症):
- 瀉血療法(フレボトミー)・・・定期的に採血して赤血球量を減少させる。
- 薬物療法・・・ヒドロキシウレアなどの骨髄抑制剤を使用し、赤血球の産生を抑制する。
二次性多血症:
- 原因疾患(低酸素血症や腎腫瘍など)の治療を行う。
- 酸素療法(呼吸不全が原因の場合)。
Q&Aから学ぶ
治療しても、真性多血症は治癒しませんが、病気をコントロールすることによって、血栓形成など合併症のリスクを減らすことはできます。
赤血球の数を減らすことが治療の目的になります。 通常は、瀉血と呼ばれる処置によって、献血のときと同様の方法で血液を抜き取ります。
多血症には
- 肥満、高血圧、緊張によるストレス多血症
- アルコール多飲や脱水による循環血症量の減少による相対的多血症
- 喫煙や肺疾患による低酸素血症による多血症
- JAK2遺伝子の後天的変異による真性多血症や造血ホルモン産生腫瘍による2次性多血症もあります。
真性多血症とは骨髄内の造血幹細胞という赤血球を作る細胞が体のバランスを考えずに自分勝手に増殖を起こし、その結果、赤血球産生量が増し、循環血液中の赤血球数が増加してしまう病気です。
相対的多血症の場合には、よく水を飲むことで、改善が見込めます。
相対的多血症の場合、水分不足によって血漿の量が減少し、結果として赤血球の濃度が相対的に増加しています。
この状態では、適切な水分補給によって改善することが可能です。
赤血球の産生を抑えるヒドロキシカルバミドの投薬をします。
ヒドロキシカルバミドは血小板減少などの副作用が出てくることがあるので、治療を行う際は、定期的な検査をしながら、調整していきます。
多血症は、症状が出ないうちに進行していきます。
犬の多血症の予後
多血症の予後は、原因や治療への反応によって異なります。
- 相対性多血症: 脱水などの原因が改善されれば予後は良好。
- 一次性多血症: 早期診断と適切な治療でコントロール可能だが、継続的な管理が必要。
- 二次性多血症: 原因疾患の治療が成功すれば回復の可能性が高いが、根本的な疾患が進行性の場合は予後が悪化することもある。
犬の多血症の予防方法
- 脱水の防止・・・十分な水分補給を心がけ、嘔吐や下痢が続く場合は早めに獣医師に相談。
- 慢性疾患の管理・・・心臓病や肺疾患、腎疾患の早期発見と治療を徹底する。
- 高地での生活を避ける・・・酸素濃度が低い環境を避ける。
多血症は、赤血球の増加による血液粘度の上昇が犬の循環器系に負担をかける病態です。
原因に応じた迅速な診断と治療が必要であり、日常的な健康管理が重要となります。
愛犬の状態に不安を感じた場合は、早めに動物病院を受診してください。



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