犬 感染性心内膜炎
犬の感染性心内膜炎は、心臓の弁膜や心内膜に細菌や真菌が感染して炎症を起こす疾患です。
まれに発生する疾患ですが、重症化すると命に関わることもあります。
| 原因 | 感染症や外科的な処置などによって血液中に細菌が侵入し、心臓の内部に生着すること |
|---|---|
| 症状 | 発熱、食欲不振、元気消失、足の引きずり、咳、失神など |
| 検査 | 身体検査で発熱や足を引きずる動作、心雑音、不整脈が聴取される、血液検査で白血球数の増加や軽度の貧血が認められる |
| 治療 | 長期にわたり適した抗菌薬の投与、人工弁の場合は心臓手術が必要 |
| 予後 | 未治療のままだとほぼ100%死に至り、治療を行っても院内死亡率は15%以上と高率 |
感染性心内膜炎は、中型?大型犬、中年齢以上のオスの発症が多いと言われています。
弁膜症や生まれつきの心臓病をお持ちの方は通常の方よりも感染性心内膜炎にかかりやすいと言われています。
感染性心内膜炎とは、僧帽弁や大動脈弁などの心臓の弁膜や、心臓の内側をおおう膜である心内膜に感染が起こる疾患です。
感染性心内膜炎では、感染が起こった部位の弁に、細菌の塊を形成します。
また、血栓が形成され、他の臓器や血管に詰まったり、感染が他の臓器にも広がったり、膿瘍(のうよう:膿の袋)を形成したりします。
なお、感染性心内膜炎の発生はまれです。
犬の感染性心内膜炎の症状
感染性心内膜炎の症状は、以下のようなものがあります。
感染性心内膜炎の症状
- 元気がない
- 食欲がない
- 動こうとしない
- 体重減少
- 繰り返す発熱
- ぐったりしている
- 衰弱
など
以上のように、感染性心内膜炎の症状は、どの病気でも起こりうるものが多いです。
心臓の異常からくる症状は、感染や背景にある疾患、心内膜炎から起こったさらなる異常(血栓が詰まるなど)により、分かりにくくなってしまうこともよくあります。
さらに、もともと、動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症をもっていると、感染性心内膜炎を疑いにくい状況になる例もみられます。
また、感染性心内膜炎は、血液の中に菌がいる状態(菌血症)が背景にあります。
そのため、敗血症や心不全、不整脈、血栓形成や感染の広がりによる腎臓や神経系等の臓器不全など、さまざまな状態を引き起こします。
犬の感染性心内膜炎の原因
感染性心内膜炎では、血液の中に菌がいる状態(菌血症)が一時的に、または長く続く状態が背景にあります。
血液の中に菌がいる菌血症では、
- 肺炎
- 尿路感染
- 膿瘍(のうよう:膿の袋)
- 膿皮症
などが原因となりえます。
また、全身性の疾患で体が感染しやすい状態になると、感染が重症化する場合があり、菌血症になるリスクが上がります。
感染しやすい状態になる病気は、以下のように、
- クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
- 糖尿病
- 免疫が著しく低下している状態
などがあります。
菌のいる血液が心臓内を通ることで、弁や心内膜に感染します。
大動脈狭窄症(だいどうみゃくきょうさくしょう)や先天的な心臓の構造異常、僧帽弁の逆流がある部位などで、感染性心内膜炎が起こりやすくなります。
感染性心内膜炎の検査は、以下のようなものが挙げられます。
感染性心内膜炎の検査
- 聴診
- 血液検査
- X線検査
- 超音波検査
- 心電図
- 血液培養※
- 尿検査
など
感染性心内膜炎は、隠れている疾患の可能性や、感染、免疫介在性疾患、心内膜炎から波及している異常を検出し、全身的な状態を把握する必要があります。
生前に感染性心内膜炎を確定診断するのは難しいです。
血液培養の結果や、他の検査所見、症状や経過などが総合的に判断されます。
感染性心内膜炎の治療
感染性心内膜炎は、最初は入院して集中的な治療を行う必要があります。
感染性心内膜炎の治療では、血液培養の結果に基づき、原因となっている細菌に有効な抗生剤を使用します。
ただ、血液培養の結果が出るまでには日数がかかるため、感染性心内膜炎の可能性が高い場合、すぐに複数の抗生剤を投与します。
並行して、心不全や背景にある疾患、感染性心内膜炎で引き起こされた疾患も治療します。
感染性心内膜炎の経過はかなり厳しく、感染性心内膜炎の犬の3割は1週間以内に死亡し、それを含めた9割は5カ月以内に死亡しているという報告があります。
犬におかしい様子があれば、動物病院に連れて行きましょう。
Q&Aから学ぶ
主な症状は元気消失、食欲不振、発熱、足の引きずりです。 炎症が僧帽弁や大動脈弁などに起こると、疲れやすい、咳、失神などの症状がみられます。
また、血の塊が全身に流入して血栓塞栓症を起こすと、その部位によって様々な症状が出ます。
感染性心内膜炎の症状 急性細菌性心内膜炎では通常、最初に突然の高熱(38.9〜40℃)、頻脈(毎分100回以上)、疲労が現れ、広範囲にわたる心臓弁の損傷が急速に生じて心不全の症状が引き起こされます。
感染性心内膜炎は、未治療のままだとほぼ100%死に至り、治療を行っても院内死亡率(入院中の死亡率)は15%以上と高率です。
感染性心内膜炎は、治療をしないでおくと、心臓の弁が細菌によって破壊されて心不全を生じたり、全身に細菌の塊が飛んで脳梗塞を起こしたりして命にかかわることもある危険な病気です。 もともと弁膜症や生まれつきの心臓病をお持ちの方は通常の方よりも感染性心内膜炎にかかりやすく、自分で知っておく必要があります。
急性心膜炎の治療法 多くはウイルス感染によるものと考えられているため、特別な治療法はなく、NSAIDs(エヌセイズ/抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称)の内服により、痛み、あるいは炎症のコントロールを行ないます。 再発性、難治性の場合には、コルヒチンという薬を併用する時もあります。
犬の感染性心内膜炎の予防方法
感染性心内膜炎を完全に予防することは難しいですが、以下の方法でリスクを減少させることができます:
- 定期的な歯科ケア:口腔内の細菌感染を予防するため、歯磨きや定期的な歯科検診を行い、歯石や歯周病を予防します。
- 免疫力の維持:犬の免疫力を維持するために、健康的な食事と生活環境を提供し、病気に対する予防接種を受けさせます。
- 外科手術後の管理:手術後に感染症が広がらないよう、適切な抗生物質の投与と感染対策を徹底します。
感染性心内膜炎は、心臓の弁や心内膜に細菌感染が起こることにより引き起こされる疾患です。
発症すると、発熱、食欲不振、心雑音、呼吸困難などの症状が現れ、進行すると心不全や失神、全身的な感染症を引き起こすことがあります。
早期の診断と抗生物質療法が重要であり、重度の場合には外科的処置が必要となることもあります。
予防には口腔ケアや免疫力の維持が役立ちます。
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