犬 エナメル質の形成不全
犬のエナメル質形成不全(Enamel Hypoplasia)は、歯のエナメル質(歯の外側を覆う硬い組織)の発育が不完全であったり、欠損している状態を指します。
この異常により、歯が脆くなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
犬のエナメル質の形成不全の症状
見た目の異常
- 歯の表面が滑らかでなく、くぼみや溝がある。
- エナメル質が薄く、歯が黄褐色または白っぽい斑点が見られる。
歯の脆弱性
- 歯が簡単に削れたり、割れたりする。
口腔内の問題
- 食べ物が引っかかりやすい。
- 感染や歯肉炎が発生しやすい。
痛みや不快感
- エナメル質の欠損により、象牙質が露出し、痛みを伴うことがあります。
犬のエナメル質の形成不全の原因
遺伝的要因
- 遺伝的にエナメル質の形成が正常に行われない犬種がいます(例:グレートデーンやサモエド)。
環境要因
- 子犬期の発育中に、ウイルス感染(ジステンパーなど)や栄養失調がエナメル質の形成に影響を与える。
歯の発育時の損傷
- 永久歯の発育中に外傷を受けた場合。
毒素への曝露
- 妊娠中の母犬が有害物質に曝露された場合、子犬に影響が出ることがあります。
カルシウム不足
- 子犬の栄養状態に問題があると、エナメル質の形成不全が起こる可能性があります。
エナメル質の形成不全の診断
視覚検査
- 獣医が歯の外観や表面の状態を目視で確認します。
X線検査
- 歯の内部構造や象牙質の露出の有無を評価します。
病歴確認
- 子犬期の病気や栄養状態の情報が診断に役立つ場合があります。
エナメル質の形成不全の治療
エナメル質形成不全の治療は症状の程度によって異なります。
軽度の場合
- 歯磨きやデンタルケアで歯の清潔を保つ。
- フッ化物配合のデンタル製品を使用して歯を保護。
中度の場合
- 歯の表面を保護するための樹脂コーティング(シーラント)を施す。
- 歯の脆弱部分をカバーする治療を行う。
重度の場合
- 歯が感染や損傷を受けている場合は抜歯が必要になることがあります。
- 歯冠修復や歯の詰め物を行い、歯を保護。
痛みの管理
- 痛みがある場合は鎮痛剤や抗炎症薬を投与。
Q&Aから学ぶ
エナメル質形成不全の原因はさまざまなものがありますが、どれもエナメル質が形成される1〜4カ月の間に形成を阻害します。
高熱の出る疾患や感染症(特にジステンパーウイルス感染症)、歯を強く打ち付ける、栄養不良などが要因となります。
犬のエナメル質形成不全の原因は、以下のようなものがあります。
口腔ケアを怠ると、歯垢が歯石に変わり、歯磨きでは落とせなくなってしまいます。
犬は歯石がつきやすく、歯石を放置すると歯周病の原因になってしまうため注意が必要です。
歯石除去について 歯石除去治療は『スケーリング』とも呼ばれます。
全身麻酔をかけた状態で実施し、超音波スケーラーという機械によって固い歯石を除去していきます。
※2019年に報告された統計では、年に1回の歯石除去を受けた犬は死亡リスクが18.3%低下することが明らかになりました。
犬種や病状ごとの差はあるものの、当院では平均して「年に一度」の頻度での歯石取りを推奨しています。
歯石の付着は、さまざまなお口のトラブルの始まり。
放っておくと抜歯が必要になったり、骨や臓器に悪影響を与えるような感染症に発展することもあります。
麻酔を使わないと、心臓が悪かったり、内臓疾患をかかえているワンちゃんでも、歯石除去を行えます。
なお、無麻酔で歯石取りできるかどうかは、まず獣医師が診察したうえで判断します。
愛犬が病気や高齢など何らかの事情によって歯石除去ができない場合を除き、基本的には、”犬の歯に付いてしまった歯石は除去が必要”です。
歯石は犬によってできやすさが違い、丁寧に歯磨きをしていても歯石が付くこと自体は珍しくありません。
「麻酔を使わない歯石取り」であれば、「体に優しい処置法」だから、本当に歯周病治療が必要な「10歳以上の子」に安心して受けさせてあげることができます。
水分の多い、柔らかい食べ物は歯垢がつきやすくなります。 ウェットフード(缶詰やパウチ)・人の食べ物は注意が必要です。
一方、ドライフードはそもそも歯垢が付きにくい上に、さらに歯石化しにくいよう調整されたものも多く販売されています。
付いてしまった歯垢を除去するのに最も効果的なのが歯みがきです。
犬のエナメル質の形成不全の予防方法
適切な栄養管理
- 子犬期の栄養に配慮し、カルシウムやビタミンDを十分に摂取できるようにします。
ワクチン接種
- ジステンパーウイルス感染などの病気を予防するため、ワクチンを適切に接種。
妊娠中の母犬の健康管理
- 母犬の栄養状態や健康を維持し、有害物質への曝露を防ぎます。
定期的な歯科検診
- 獣医による歯科検診で早期発見と対応を行います。
デンタルケア
- 子犬期から歯磨きを習慣化し、歯の健康を保つ。
犬のエナメル質形成不全は、見た目の異常や歯の脆弱性を引き起こす疾患ですが、適切なケアと治療で症状をコントロールすることが可能です。
早期発見が重要であり、定期的な口腔ケアと獣医でのチェックが予防と管理の鍵となります。
特に、発育期の栄養管理と感染症予防が大切です。
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